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ニュース


エンジン整備講習会 (Rotax 582)


2018/05/23



先日、ウルトラライトプレーンやジャイロプレーンなどで広く使われている ロータックス製 582 エンジンの、整備の実技の講習会が開かれました。 このエンジンについて、この種の講習会は国内で初めてです。下のような形でした。

私の愛機もこのエンジンをつけており、メーカーのマニアルや各種の参考材料を頼りに、一応自分で整備していますが、 きちんと教えてもらえる機会があれば、ぜひ行きたいと日頃から思っていたので、開催を知って、待ってましたとばかりに、参加を申し込みました(笑)

受講してみると、予想していたより、はるかに深い内容でした。通り一遍の話に終わらず、過去に起きたさまざまな事故やトラブルに絡ませながら、突っ込んだ解説がされました。講師の田近社長は、ロータックのエンジンに 36 年間も携わって来たそうですが、その経験から得られた物は半端ではないと感じました。私が今までやってきた整備方法では不十分な点が、いくつかある事もわかりました。ここで得た知識を生かし、今まで以上に安全なフライトを目指そうと、気持ちを新たにしました。

ところで、受講者は 13 名と少なく、これほど価値のある機会が十分に生かさず、もったいないと思いました。 ウルトラ界って、お勉強する暇があったら飛んだ方がええわって人が多く、ちょっと寂しい・・・



手が空いた時だけですが、受講中に、いくらか写真を撮りましたので、下に紹介させていただきます。クリックで拡大写真が出ます。


Rotax エンジン講習会

講習に使ったエンジンは、582 の 90 年モデルの中古品で、赤城エアスクールの方が提供して下さった物です。 写真は、減速ギヤボックスを外した所で、田近社長がその周辺の解説をしています。減速ギヤボックス組付け時には接着が必須という件は印象に残りました。


Rotax エンジン講習会

スパーク・プラグについて、各種タイプや、それらの性質、調整方法などについて、解説をしています。特に熱価については、高度な内容でした。


Rotax エンジン講習会

本体の分解に先立ち、別に用意されていた異常な状態のピストンを示し、何がどうなるとこうなる式の話から始まり、ピストンを見ると運転していた時の状態がわかる事を、詳しく解説しています。


Rotax エンジン講習会

エレクトロニック・ボックスと呼ばれる CDI 点火の回路部分を取り外した所で、その内部の仕組みや点検方法を解説しています。


Rotax エンジン講習会

シリンダ・ヘッドを取り外した所です。この時のように受講生が近くまで寄って見ることも多く、その場で質問も飛び交い、普通にある講義形式の講習とは中身の濃さが段違いです。


Rotax エンジン講習会

ピルトン・リングの外し方をデモして、カーボン除去作業の注意点などを、詳しく解説しています。リングの溝のカーボン除去作業には、150 ミリのステンレス製スケールの角を使うと良いと言ってましたが、偶然にも私がやっているのと同じなので、妙にうれしくなっちゃいました(笑)


Rotax エンジン講習会

この講習会は格納庫でやっています。赤城エアスクールの方が、自分の機を一日中外に出しっぱなしにして、場所を提供して下さった物です。 また、この日は快晴で風も弱く絶好の飛行日よりでしたが、騒音が講習の邪魔になるのを気遣って下さったらしく、フライトする人はいませんでした。


Rotax エンジン講習会

ピストン・ピンの抜止めのサークリップを外した後で、逆にそれを取付ける場合のやり方をデモしています。ロータックス純正のサークリップ・インストーレーション・ツールを使う方法で簡単に入りました。


Rotax エンジン講習会

ピストン・ピンを抜く作業のデモです。ロータックス純正のピストン・ピン・エキストラクターを使って簡単に出来ます。


Rotax エンジン講習会

クランク・ケースの構造を解説しています。2 ストロークエンジンにとってクランクケースのシールが重要だと強調しました。中央部にオイルが満たされる部屋が作られており、その周囲とのシールについて念入りに説明していました。ウォーター・ポンプ側とのシールが破れた場合の発見方法なども。


Rotax エンジン講習会

ロータリー・バルブ・シャフトを止めているスナップリングを取り外す作業をデモしています。狭くて工具がかからず、なれないと苦労する部分です。


Rotax エンジン講習会

ロータリー・バルブ・シャフトを抜いている所です。シャフトにロータックス純正のエックストルージュン・ジグという名前の雌ねじつきロッドを取り付け、それを叩くやり方で、シャフトを傷めずに抜くことが出来ます。


Rotax エンジン講習会

引き抜いたロータリー・バルブ・シャフトの構造を解説しています。ギヤの右側にあるスペ−サーですが、90 年モデルではシャフトに接着してあり外すには火であぶるしかないとの話は、びっくりしました。私のは 99 年モデルで、接着はしてないので容易に分解できます。


Rotax エンジン講習会

クランク・シャフトとロータリー・バルブ・シャフトの、組立てられた状態での位置関係を説明しています。


Rotax エンジン講習会

キャブレターの仕組みの解説に入った所です。写真はありませんが、これに先立って燃料ポンプの解説がありましたが、教材として私が持参した物を使って下さいました。私も、ちっとはお役にたてたのかも、エッヘン(笑)


Rotax エンジン講習会

キャブレターの調整と運転状態への影響について、田近社長が熱弁をふるっている所です。いろいろと高度な話もした上で、何よりもまずフロート・チャンバー内の燃料液面レベルが、きちんと調整されていなければならないと、強調していました。


Rotax エンジン講習会

キャブレターを半ばバラしたところです。ピンゲージを使ってニードル・ジェットの穴径を実際に測って見せながら、 ニードル・ジェット(穴)やジェット・ニードル(針)は磨耗して行くとの解説もありました。


Rotax エンジン講習会

受講者全員に配布された教材です。左がオペレーターズ・マニアルで、右はパーツリストです。これらを参照しながらの解説もありました。


Rotax エンジン講習会

オペレーターズ・マニアルの中身の一例です。点火系回路やスパーク・プラグの解説が載っています。


Rotax エンジン講習会

パーツリストの中身の一例です、クランク・シャフトやピストンの周辺が載っています。ドイツ語と英語が併記されています。 バラした後で組立てる場合にこれをしっかり見てやらないと間違え易いです。特にロックタイトなどのケミカルの指定は重要です。 部品の注文時は、これを見て型番を伝えると確実です。


Rotax エンジン講習会

講習が滞りなく終わり、開催に尽力された方々が談笑されていたので、一枚撮らせていただきました。 左から二番目の女性は、この講習会を主催した関東スポーツ航空協会の会長を努められている平澤さんです。 皆さん、すばらしい機会を与えて下さり、ありがとうございました。




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